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問題と問題意識

 商店街活性化の取り組みにおいて。
よく採用されているアプローチに「商店街の実態調査」があり、その一環として「商業者の意識調査」が行われます。
調査の目的は「実態調査」であり、そこ調査されるのは“商業者は現状について、及び現状からの脱出についてどのような考えを持っているか”といったことになります。
みなさんも調査を行ったり、調査に協力したりした経験があると思いますが、調査はその後どう活用されたか、その成果としてなにがどうなったか、ということについてはほとんど留意されていないと思います。

 実はこの調査にはとんでもない結末がありまして、結論からいえば、この調査の結果、商店街活性化は祖のあるべき方向から大きく逸脱してしまいました。一から出直す以外に取り返しのつかない逸脱です。今日はそのことについて書いてみましょう。

 はじめに、この調査(商業者の意識調査)は何故必要か?ということから。

 商業者は現状についてどのような問題意識を持っているのか、その問題意識は、「活性化」に取り組んでいく主体の問題意識として妥当なものか、それとも是正を要するのか、ということを知るため、ですね。
問題意識が適切でなければ、活性化のためと銘打って取り組まれる仕事も適切でないかも知れませんし、場合によっては間違った問題意識が別の・新しい問題を引き起こすことも無いとは言えません。
そういうことがあれば、商業者の問題意識の内容自体が一つの問題として対処することが必要かも知れません。

調査の必要性は、
①商店街活性化の取り組みを構想するにあたって
②取り組みの主体である商業者はどのような問題意識を持っているか
③その問題意識は、現時点での商店街活性化に取り組んでいく主体の意識として適切か
④適切でないとすればどう対処すべきか
という問題の有無及び対処策を考えるための資料として行われるものです。
 特に、商業者は活性化の主体となるわけですが、事実上、商店街が活性化しなければならなくなっている現状を作りだしているのも商業者の営為の総体だと考えれば、“商業者はどのような問題意識を持っているか”ということを把握する仕事は不可欠です。
「商業者の問題意識調査」は大切な作業です。

 ところが、実際の調査では恐るべき短絡がおこなわれておりまして。
何と、「実態調査の一環としての問題意識の調査」のはずが、回答が分析されたのち、利用される段になると、「商業者の問題意識」=「商店街が直面している問題」というすり替えが行われます。
問題意識の適否を判断して活性化事業の内容に反映させるために行ったはずの調査で列挙された問題が、活性化事業が取り組むべき問題に祭り上げられるのです。

 思い出してみますと、これまで商店街活性化策として採用されてきた事業のほとんどが「商業者の意識調査」や「商店街活性化についてのアンケート調査」などで表明された“商業者が考えている問題、活性化策”に基づいて作られています。

○駐車場が欲しい、といえば駐車場を
○空店舗が多くて困る、といえば空店舗対策
○通りの景観が見苦しい、といえば景観整備
○通行量が少ない、といえば通行量対策
といった具合ですね。

 商店街活性化に本格的に取り組むにあたっては、「商店街診断」が行われます。(というか、最近は省略されることが多いようですが)

 診断といえば、お医者さんが患者の病気を治すために行う仕事の一環、患者の病気・容態を判断するために行われます。
商店街診断はこれのアナロジーだとおもわれますので、医者が行う診断について考えてみましょう。

からだの不具合を感じて患者が受診に来たとします。
“どうしましたか”とお医者さんが聞きます。
患者はあれこれ症状を訴えます。先生はそれを踏まえつつ、一定の仮説を立てて処置します。診断のための検査だったり、処方だったり。
このとき、間違っても“患者が○○と言ったから”ということを唯一の根拠として診断が下されることは(通常)ありません。
患者の状況説明は、重要ではありますが、それが医者が下すその患者への最終処置の判断を決定するものではありません。

 ところが。
同じ診断という用語を用いながら商店街診断の場合は大違い。
“活性化が必要な商業者が活性化策を決めている”というのは、言葉のアヤでありまして、実は“活性化策を商業者の問題意識で決定している”のは仕事を受託した専門家。

 そのレベルたるや、お医者さんが患者の“胃ガンだと思うので摘出してください”といってきたからといってそれだけを根拠に“この患者は胃ガン、摘出手術の要有り”と診断しているようなものです。

 このことについて、takeoはすでに“活性化の必要な商業者が活性化の処方箋を決めている”と指摘したことがありますが、もちろん、実際に決めているのは商業者ではありません。その責任は活性化策の立案を受託した専門家およびその「成果」を収受した調査主体にあります。
「問題意識」を「問題」にしてしまっているのは専門家の詐術もしくは至らなさであり、さらにそれがまかり通るについては、調査主体の「問題意識」のあり方にも問題があると言わなければならない。はたして自分が取り組んでいる問題はどのようなプロセスで立てられているのか、あらためて反省してみることが必要かも知れません。問題の根っこは深~いのです。

 一般的にいって。
問題と問題意識は混同しないこと。
当事者が“これが問題だ”と主張するのは実は問題ではなく、“問題を自分なりに考えた結果たどり着いた解決策”であり、時にはその「自分なりに考えた」ことが間違っており、間違った解決策が表明されることがあります。
問題解決に当たる者にとって、この「当事者の問題意識」の内容は、そのまま「問題情況」を構成する重要な一因であり、そのあり方は問題解決策を作っていくうえで対応を考えなければならない大きな部分を占めていることが間々あります。

 この状況をスルーして、当事者に意識されている問題=解決すべき問題早合点するととんでもないことになります。

 繁盛店づくり、商店街活性化、中心市街地活性化といったこのサイトが対面している問題領域では往々にしてあり得ること、ひょっとしたらあなたの仕事が依拠している計画・解決策もその根拠はそういうところにあるのかも知れません。
いくら取り組んでも成果が得られないと悩んでいる人は、あらためて「活性化基本計画」などの当該個所を繙いてみられることをお奨めします。
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