FC2ブログ

司法の裁量権 “依らしむべし、知らしむべからず”

 東京地検特捜部のビヘイビアについていろいろと議論されておりますが。

 とても興味深い本を読みました。
ダニエル・ボツマン『血塗られた慈悲、むち打つ帝国』(インターシフト 2009年)

 開国当時の不平等条約、治外法権が柱の一つですが、諸外国がこれを主張したのは、幕府の刑罰制度が「残酷」であり、これで自国国民が処断されることになれば、国内で憤激が起こり政府に責任が及ぶことは必定、これを防ぐには裁判権を確保することが必要だったから、と論じられています。

 なにやら、今日の「地位協定」を彷彿とさせる話ですね。

 当時の江戸。
市内に通じる主要街道からの入り口にはそれぞれ刑場が設置され、江戸入府を急ぐ旅人は、そこに散乱放置されている死骸の一部をいやでも目にしながら通過する「仕掛け」になっていたとか。
もちろん、外国人も例外ではありません。
旅行記に書いている人もいます。

 幕府の司法は、「罪刑法定」ですが、その特徴は「法」を一般に周知させていないこと。「依らしむべし、しらせるべからず」、罪と罰の対応関係は一般には公開されておらず、江戸市民が司法の存在・発動を見るのは、「引き回し」「獄門」といった刑罰の結果によってだったといいます。

 それも、通常、執行段階は公開せずその結果としての「さらし」「獄門」という形で権力の怖さを周知させた。
司法官僚の裁量権も相当のもの、大川裁き的「温情」も実際にあったとかで、何をしたらどういうお仕置きが待っているのか、予測がつきません。なにやら昨今の状況もよく似ているようで、はて、司法制度は幕府を継承していたのかしらん、と思わされたりします。

 新政府になってからの条約改正の苦労は並々ならぬものでしたが、そのプロセスは「刑罰の改正」と軌を一にしています。

 そういえば、日米安保の懸案である「地位協定」にも犯罪捜査が絡んでいますね。
弁護士の立ち会いとか、可視化とか。

 欧米に追いつけ追い越せで来たわが国ですが、至らぬところが残っているようです。

 『血塗られた慈悲・・・』、お奨めです。
『行きし世のおもかげ』とか『江戸のダイナミズム』とか懐かしがっているばかりというわけにいきません。
取り調べ・裁判のありかたなど、現代に通底しているところもあるのではないか、などなど考えさせられました。

 江戸時代は暗黒だった、とは明治政府のプロバガンダだったという説がありますが、こと司法制度に関する限り現在とはまったく異なる制度だったことは間違いありません。

 もっとも昨今の状況からかいま見える司法官僚の発想やらビヘイビアやらをもとにそのパラダイムについて考えてみると、ことはそんなに簡単ではありません。
三権分立やら罪刑法定主義やらもわれわれが漠然とイメージしている常識通りではない、ということも分かってきたりすると、話はいっそう複雑怪奇。
-
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
ご案内
こちらは、コンサルタント・ファーム、有限会社クオールエイドのホームページの別館です。 商店街・中心市街地活性化関係の業務を中心に展開しています。 ご利用法について。 当ブログには、当該部門について、他では入手困難な情報をたくさん提供しています。 「ブログ内検索」で抽出、ご利用ください。 各種掲示板、ホームページ過去記事などは左欄の目次からアクセスできます。 引き続きよろしくお願いいたします。
プロフィール

進化する売場研究会

  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
ブログ内検索
アクセスカウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
月別アーカイブ