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通行量と活性化の因果関係

 中心市街地活性化を推進するための事業は、そのほとんどが“住む人・来る人を増やす”ことを目的にしていますが、これを「商業の活性化」に引きつけて考えれば、“店前通行量の増加”を目指しているということになります。

 しかし、店前通行量と商業の活性化 ―端的に言えば立地する個店群の賑わいでありつまりは売り上げの向上― との関係の理論的な究明作業はこれまで行われておりません。
両者に相関関係が有るのか、あるとすればどの程度のものか?
商業活性化の取り組みが「店前通行量の増加」に収斂している以上、このことの解明は(増加のための事業に取り組んでいる人々にとって)極めて重要な課題のはずですが、これまでのところ行われておりません。学界については分かりませんが、行われているとすれば、その業績が引用されてしかるべきところです。

 理論的な根拠がないままに“店前通行量の増大”が商業活性化を実現する一本道であるかのように考えられ、追求されています。
認定基本計画において“活性化実現のバロメーター”として設定されている「数値目標」は、商業活性化関連では「通行量の○%増大
」されていることは皆さんご承知のとおりです。
 ご承知のとおりですが“通行量が○%アップすれば、商店街の何がどうなるのか”ということについてはまったく述べられていない計画がほとんどです。

 これは何を意味するのか?
数値目標として「通行量の増加」を掲げている基本計画は、何を根拠に“通行量を増加させれば商業は活性化する”と主張しているのでしょうか?
提示されている○%アップという数値は、それが実現すれば商店街の何がどうなると主張しているのでしょうか?
上述のとおり、商業の活性化とは突き詰めれば「シャッターの内側の活性化・売り上げの増加」ですが、通行量の○%アップは、売り上げの増加とどう関連しているのか?

 交通量アップのための取り組み自体、“それに取り組めばほんとうに交通量が増えるのか”根拠が無い事業が多すぎます。
交通量の増加が商業の活性化をもたらすということは論証されておりませんが、ついでに指摘しておきますと「通行量を増加させる」ために計画されている事業群にほんとうに通行量を増加させる力があるということも論証されておらず、どちらかといえば実効性が疑われるものが多いようです。
 先に発表された認定基本計画の中間総括では、ご承知のとおり、ほとんどの都市の報告が“通行量の増加”という目標について未達であり、さらにはスタート段階よりも減少している例も少なくありません。その理由は究明されていません。
にもかかわらず、計画期間中には数値目標が“達成される見込み”とされていますが、その根拠はまったく示されていません。

 こういう「計画」に基づいて貴重な時間とお金と人々のエネルギーが費やされているということですね。

 なぜこんなことになっているのか?
思い当たるのは「藻谷理論」の存在です。
提唱する藻谷浩介氏は、
○日本全国行ったことがない市町村は5個所だけ、
○すべて始めていったのは自費
となんの関係もないことをマクラに置きながら、
“商業は街の花、花が咲くためには根、茎、葉が十分育つことが必要だ”というレトリックを用いて、「商業活性化への道」を提唱しています。
“商業はまちの花”と宣う氏にとって、花の咲き加減はひとえに根・茎・葉の生育状態に掛かっておりまして、では、根・茎・葉とは何のことかと言いますと:
根:中心市街地に住んでいる人
茎:中心市街地で働いている人
葉:中心市街地を訪れる人
だそうです。

 つまり、氏が主張する中心市街地・商業活性化への道とは、商業は人の数次第、活性化したかったら人を増やせ、ということであります。
ではその根拠はといいますと、アッとビックリ、何もありません。“商業はまちの花”花を咲かせたかったら・・・というレトリックのみがポツンと語られるだけです。

 こういう思いつきが基本計画の作成を導いているとは信じたくないところですが、ためしにWebで検索してみると氏の言説に“目からウロコが落ちた”人たちのレポートが山積しています。
某市の基本計画には「監修者」として氏の名前が挙げられ、市長さんが謝辞を述べています。
 さらに氏は、国会、政府等の関係機関における調査・審議に参加して上記のような“行ったことのない市町村は五個所だけ”といった修飾をマクラに現場を知悉しているものの発言として「商業はまちの花」理論を展開しています。
国の施策にも影響を及ぼしている可能性があるわけです。
しかし、繰り返しになりますが、氏の“通行量(人口)が商業を活性化する”という主張にはなんの理論的な裏付けもありません。
ただ、「商業はまちの花」というアナロジーがあるばかり。

 これも既に明らかにしていることですが、中心市街地関係者で「活性化への道」を添加している人はほとんどありません。takeoが知っている限りではtakeoと藻谷氏だけではないかと思います。
そうだとすれば、世に蔓延している「通行量が活性化を実現する」という考え方の多くは藻谷氏の主張に由来するものではないか、と推測されます。
藻谷氏の責任は重大です。

 さて、ご承知のとおり、藻谷氏は都市の相対的な景況についてデータを加工して説明することを得意とされています。
これを見せられて“眼からウロコが落ちる”人が多いようですが、氏が提示する図表から「活性化への道」が示されると思ったら大間違い、このことはあらためて【理論創発】できっちり剔抉します。

 さて、いくら書いてもキリがありませんので最後に藻谷氏へのお願いを書いておしまいにします。

 藻谷さん、仮にも中心市街地・商業活性化の専門家として振る舞うのなら、ご自身が提唱する「活性化への道」の根拠である“商業はまちの花、住む人、来る人が増えれば街は活性化する”というお説の根拠を明らかにしていただきたい。
あなたはデータを使うのが得手のようですから、一つ、全国各地の都市データを用いて明解にご自身の主張の根拠を明らかにされては如何でしょうか。

この作業、これまで取り組んでおられないのが不思議なくらい、さっそくのご着手をお願いします。
根拠のないご託宣に基づいて基本計画が作られ実践されていますが、その結果、劣化スパイラルが停止するどころか、事態はどんどん悪くなるばかり、実践的には実行力が疑われかねない「まちの花理論」ですが、少なくとも“理論的・データ的には間違っていない”ことを論証してお説を根拠に基本計画~実践にいそしむ全国の関係者を安心させてください。
もちろん、出来れば、のことですが。
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進化する売場研究会

  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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