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三越高松店

 丸亀町商店街については、現在、【都市経営】で考察中です。
これからだんだんシビアな領域に入っていきますが、その前に同商店街のテナントミックスの中核を占めている三越高松店について、少し考えておきたいと思います。

 念のために申しあげておきますと、テナントミックスとは「業種揃え・店揃え」のことですね。けして“元気のいい店、集客力のある店を空店舗に引っ張ってくること”ではありません。
また、しょうてんがいの業種構成を枚挙して欠業種店を招致することでもありません。
テナントミックス=業種揃え・店揃えとは、その商業集積が対応しようとするショッピングを過不足無く満足させる、「品揃え・サービス揃え・環境」をめざして、適切な売場構成・品揃えを実現するためにふさわしいショップ=売場を構成することです。
テナントミックスの目的は「適切な品揃え」なのです。

 したがって、商店街が取り組むテナントミックスとは、空店舗に欠業種を誘致する、といった世間で言われているようなお手軽な話では無くて、既存の(空店舗を含む)自然成長的商店街から、特定の消費購買行動に対応する商業集積へと転換していくこと取り組みにおける中心的な課題であり、現在営業中の各個店は、商店街が新たに構築をめざす商業集積の一員としてふさわしい「業容」へと転換していくことが求められます。

 転換を拒否する・これまでどおりの店づくりに安住することを臨む店舗・商業者は活性化の取り組みの成果を享受することは出来ません。
商店街は、そこに結集するすべての店舗が、商店街が実現をめざす商業集積=「買い物の場」の構築に向けて、それぞれ「店づくりの転換」に取り組むという事業を計画的に推進することではじめて「商店街活性化」という仕事の現実性が見えてきます。
個店の転換=テナントミックスの構築を取り組みの中心に据えていない商店街活性化は、すべて偽物、本来の目的を達成することはできません。本人たちは成功するつもりでしょうが、そういう取り組みが成功することは絶対にありません。
 
 以上については、この際、きっちり覚えておいてください。

 さて、丸亀町商店街のテナントミックスの目標については、明らかにされていませんが(これは大問題ですがここではこれ以上ふれません)、現段階での「店揃え」をみますと、
①百貨店(高松三越)
②スーパーブランド群
③セレクトショップ群
④SPA
⑤書店
⑥雑貨
⑦飲食
というラインアップです。

 物販を総括すれば、「ファッションとカルチュア」という店揃えになっています。
ファッションについては、百貨店ブランド、スーパーブランド、セレクトショップという「高級ファッション」がメイン、カルチュアはインテリア雑貨と書籍、書籍は紀伊国屋。

 トータルのテナントミックスで対応しようとしているショッピングニーズは何か?

 テナントミックスは、そのニーズへの対応として十分な内容になっているだろうか?

 ということが、丸亀町商店街の取り組みの成否を左右するテーマです。

 このテーマについての考察は【都市経営】で続けるとして、ここでは同商店街と運命共同体という位置にある三越高松店について。

 同店は、丸亀町の取組と歩調を合わせて、本館のリニューアル、新館及び別館の建設、西館へのスーパーブランドの配置と、この時期においては画期的な試みを展開しており、このプロジェクトに対する三越の意欲はたいしたものです。

 意欲はたいしたものですが、だからといってその成果もたいしたものになると約束されるわけではありません。
当社的視点からすれば、むしろ、これで大丈夫だろうか?と心配される業容でありまして、万一のことがあれば運命共同体ですから、商店街全体へも計り知れない影響が出ることは間違いありません。

 その業容を検討してみましょう。

そもそも百貨店という業態は、スタート時点に遡ると「奢侈階層のライフスタイル用品を下流に普及させる」という機能を担っていました。
この機能は現代まで踏襲されています。
これが当社が百貨店を分析する際の基本的な視点ですが、その根拠については、別途、【理論創発】で説明することとして、ここでは百貨店とは「奢侈の普及」という事業機会を標的とする小売業態である、ことを前提に話を進めます。

その業容:
「奢侈普及」という使命から、その品揃え・売場構成は、自ずと普及型奢侈品です。百貨店の売場構成の変遷は、普及型奢侈品として登場してきた商品が、そのポジションが変わることで売場から消えていき、新しく導入される普及型奢侈品が売場を構成していく、ということの繰り返しでした。

 ちなみに日本型百貨店を舞台とする奢侈品の普及は、
欧米から国内へ
中心部から沿線へ
東京から地方へ
というワンパターンです。

 もの余り・店あまり時代の「普及型奢侈品」は、いうまでもなく現在、百貨店の売場を構成している、いわゆるスーパーブランド群をはじめとするテナントの品揃えに代表される商品群です。

 以上を前提として三越の業容を分析してみましょう。
①そのポジションは、
 愛媛県~四国全域という広域商圏をターゲットにする「百貨店=奢侈品普及小売業」。

②品揃え
 そのポジションの特性からその品揃え(=売場揃え=品揃え=テナント揃え)は、政令都市の一番百貨店に比肩する充実ぶりです。

 業容三点セットのうち、アシスタンス及びアンビエンスについては特筆すべきことはありません。同業並み、したがって普及型とはいえ奢侈品売場としての機能は備わっておりません。(この点は【理論創発】で)

 百貨店の趨勢
第一に、見ておかなければならないことは、「不況」ではなく、「普及型奢侈」という消費・購買ニーズの動向です。
もともと、奢侈はイタリア・カトリック教会が発明したライフスタイルが、王侯貴族・国外へと普及して拡がり、百貨店を売場に新興ブルジョアジーを顧客層とすることで一挙に拡大しました。プシコーさんの尽力多大です。
百貨店が大要とする消費・購買ニーズとは、仰ぎ見る対象のライフスタイルに近づく、模倣する、という消費購買ニーズでしたが、そのニーズは今現在どうなっているか?

第一、もはや仰ぎ見る・お手本とすべき奢侈階層が消滅した。

第二、お手本が無くても自立的にライフスタイルを設計する能力を持つ人が階層を問わず出現している。

第三、「普及型奢侈品」をラグジュアリィと評価する人が減っている。
今やお手本は自分たちの代表=「読者モデル」です。

第四、代替選択肢の登場 いろいろ。

第五、生活の幅の拡張 普及型奢侈品を所有する満足に変わる・それを凌駕する満足機会はそこら中にある、という人も増えている

というなかで、百貨店は依然として「普及型奢侈品」を欲しがる「保守的富裕層」のミッシーをターゲットになんとか業容を維持しようと苦労しているわけですが、そこに、

第六、“百年に一度の暴風雨”の襲来

ということで、どこからどう見ても現容的百貨店には“明日はない”のであります。

 とまあ、百貨店業界の現状について、当社はとらえているわけです。

 ということで話はふたたび本論・三越高松店へと戻りまして。

 今回のリニューアル、三越としては思い切ったチャレンジのはずですが、効果のほどは極めて疑問とせざるを得ません。なるほど、テナントミックスなど、類似規模の都市の百貨店に比べれば格段に充実しており、四国広域における一番店というポジションを再確立しました。
だがしかし。

 それがどうした、というのが上記①~⑤に示した業態環境でありまして、早い話、今回のリニューアルは、全国至る所で百貨店が陥っている隘路から、三越高松店が脱出する戦略的取り組みとしては、ほとんど効果が無いだろうということです。

 当社の見立があたっているとすれば、ことは三越だけに止まるものではありません。三越の将来(というかここ二、三年の状況)は、一蓮托生の道を選択した丸亀町商店街そのものの命運に直接関わることです。

 高松店の場合、特に、新たなチャレンジとして路面へ展開したスーパーブランドは大変です。いつまで辛抱できるか、辛抱したからといって好転することはない、ということは①~⑤という趨勢からあきらかですし。
この時期に百貨店の外に出るという選択はどうだったのか。端っこに配置された一部知名度の低いブランドなどは特に大変のはず。
スーパーブランドこと「普及型奢侈ブランド」ショップは、立地選定のミスだけではなく、業容そのものもおしなべてアンバランスになっています。これでは今や「絶滅危惧種」となっている「普及型奢侈品愛顧客相」の、関西方面との争奪に優位を占めることもできません。

 百貨店再生の道、無いことはないと思いますが、既存各社の動向を観察するに、「基礎体力」に問題があります。

 丸亀町商店街のテナントミックスの核であり、また事業そのものの核でもある三越高松店は、“ここを頼りに努力を結集していく”といった決まり文句では全国の中心市街地・中心商店街街の将来に点滅する赤信号を、ご当地高松市中心商店街において“例外的”に消すことは出来ません。そのためには、百貨店を含む街全体が、活性化への努力を結集して構築をめざす「一体的推進の目標」をあらためて確立、その実現に向けた一体的な取り組みを推進しなければならない。その先頭に立つのは、B・C街区の専門店群ですが、こちらも基礎体力に問題があるはずです。

 ということで、丸亀町商店街の再生の取り組み、進行中の取り組みと平行して、関係者総参加で所要の「勉強」をする機会を早急に作ることが喫緊の課題です。
基本課題ということでは、丸亀町も皆さんの街も変わるところはありません。ハード事業の進展からすれば、もちろん、丸亀町の方が事態は急を要します。

まあ、当事者である皆さんにはすでに先刻理解されているところだと思いますが、全国には“うちも百貨店と組み、「所有と利用の分離」をやれば丸亀町になれるかも”などと浅はかな考えのもと、ことを企画している人がいるかも知れません。
まあ、そういう人は当記事を理解することはおろか、ここまで読み通すほどの問題意識も無いわけで、さらに言えば、そもそもそういう人たちが当サイトに日参するはずも無く、あれ?、この記事いったい何のために書いたんでしょうねW
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  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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