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脱成長経済時代の構想力

 “今日の日本の経済の最大の問題は、グローバルなスタンダードに合わせて競争力を如何に回復するかという点にあるのではなく、いずれに低成長、人口減少、高齢化、消費意欲の減退を甘受せざるを得ないという条件のもとで、いかなる形で「生の確かさ」、生活の確実な基盤を構想し、そこへ向けてどのような経済的な条件を整えていくか、という点にこそ求められるべきであろう。
 グローバリズムにいかなる形で対応し、あるいはいかなる形で距離をとるか、日本型経済をどうするかという問題は、あくまでそれと連動した事柄なのである。
 だからたとえば規制緩和、自由な競争市場が全面的に正しいという議論はほとんど意味を持たない。規制緩和が必要な領域もあればむしろ規制強化、強力な行政権限が必要な領域もあるということであろう。それを見極めることは、この低成長経済の中での社会生活の構想、国家についてのビジョンをある程度もっておかねばならないのである。”
(佐伯啓思『ケインズの予言(PHP新書1999年)』P206)

 “百年に一度の暴風雨”をバブルの崩壊によるものと見るのは今日多くの人に一致していますが、ではバブルはなぜ崩壊したのか、イヤ、そもそもバブルはなぜ発生したのか、ということを突き詰めると、起きているのは暴風雨ではなく地核変動ではないか。
 というか、単に質の悪い不景気が続いているのだとか、そうではなくて百年に一度という規模の不況だとか、見方はいろいろ出来ますが、引用したような条件のもとで地域経営を構想していくにあたっては、当ブログが日頃主張しているように日本の経済社会は「地核変動」のさなかにあり、われわれが的確に対応することを迫られているのは、この「地核変動」期を新しい地平に向けて如何に上手に乗り切っていくか、という視点が不可欠です。

 当ブログではめざすべき方向を「時間堪能型社会」と定義していますが、特に「中心市街地活性化法」のスキームを活用して中心市街地~都市全域の活性化に取り組もうとする人口20万規模程度以下の多くの都市にとって、都市経営の全方位的な努力の一体的な推進によって取り組む課題を「時間堪能型社会への対応の推進」とすることは、疲弊する都市経済、混迷する都市経営を再構築する唯一の方向ではないかと考えられます。

 ご承知のとおり、当サイトのキャッチフレーズは、“中心市街地活性化の成否は自立的都市経営の試金石”ということです。
都市経営がめざすべき方向をどう定めるかということは、当面,都市経営上の最重要なテーマです。
テーマの設定を間違うと解決不能なコンフリクトが多面・多重的に発生し、経営不能に落ちって行くというのがこの規模の都市の見やすい将来ではないでしょうか。
 
 中心市街地・商店街活性化のテーマを「ラグジュアリィ・ニーズに対応するショッピングゾーンの構築」と掲げることは、広域商圏において将来にわたって事業機会を確保するという目的を達成するためですが、それは同時に都市が総力を挙げて対応しなければならない「時間堪能型社会への移行」という課題への試行という側面を持っています。

 一般に都市再生の取り組みの中核を担うのは地域中小企業者であり、もちろん、その有力なグループの一つが「中心市街地活性化法」のスキームを活用しながら個店・商店街・中心市街地の活性化に取り組む中心商店街・独立自営商業者です。

 というように考えますと、現在の中心市街地活性化の取り組みに欠けているのは、「転換期」という時代の性格を見据え、地核変動期・脱成長経済時代の生活はどこをめざすべきか、どこをめざそうとしているか、その兆候はどこに現れているかということを見極め、対応の方向と方法を構想する、というもっとも基本的なことです。

 わが商人塾では早くからこの方向と方法を提唱し、共鳴する皆さんと実践しているところです。さいわい、このような時期においても塾生の皆さんの業績は好調のようです。
中心市街地活性化、今必要なのはあれこれの施策に取り組むことではなく、その基盤となる中心市街地が進むべき方向と方法を定めることであり、その延長上にはもちろん、都市自体が新しい時代における安定・安心・安全を確保していく方向と方法を構想する、という課題への大きな貢献があると思います。


※冒頭で引用した佐伯さんの本は以前も紹介したところですが“幻想のグローバル資本主義”というテーマで書かれた新書二冊セットの下巻です。上巻『アダムスミスの誤算』と合わせてご一読をお奨めします。 
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進化する売場研究会

  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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