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新書で読み解く今(その一)

□情報化社会

 今や死語と化した感がありますが、ポスト工業社会はこれだと言うことで早くから唱える人が多かった。森内閣当時は、IT革命をキャッチフレーズに、経済社会全般に渡って新しい繁栄のフェーズを切り開くものとしてもてはやされました。

その結果は:
柳沢賢一郎・東谷暁『IT革命? そんなものはない』2000年 洋泉社

 著者は、20001年という時期に、インターネットは現実社会の反映である、というごく当たり前の視点から、「ものから情報へ」といったスローガンがスローガン倒れに終わること、インターネットを媒介にした「ニューエコノミー」はバブルであることを主張していました。「情報」についての基本的な批評も行われており、役に立ちます。
柳沢さんでもう一冊、東谷暁との共著で『IT革命 根拠無き熱狂』講談社α新書

 柳沢さんは、柳沢情報科学研究所を主宰、東谷さんはご承知のとおり、経済分野をメインに活躍するジャーナリスト。

東谷暁『エコノミストは信用できるか』文春新書 平成15年
 90年代のバブル破裂から不良債権処理、財政改革・政治改革果ては構造改革とキャッチフレーズが乱れ飛ぶなかで、スピーカーとしてのエコノミストたちは、何についてどうしゃべったか。
「ポジション・スピーカー」としての彼らの「不良債権の処理」、「景気動向・対策」、「ゼロ金利」、「IT革命論の評価」などをめぐる90年代を通じた彼らの言説を批評しています。
巻末では「前後の一貫性」「論理の整合性」「説得力」「市場供給力」「市場需要力」といった項目で著名エコノミストを「採点していて面白いです。
著者のエコノミストに対する批評を一言でいえば“デタラメを言うな”ということでありまして、採点項目として「前後の一貫性」「論理の整合性」などが対象にされているところに現れています。
本来評価の対象となるべき「迫真性」や「先見性」は望むべくもないということでしょうか。
 その背景では「知の劣化」ということが進行しているのではないか。
社会におけるエコノミーの占めるポジションが肥大化するにつれて、エコノミストの「ポジションスピーク」がマスコミを通じて垂れ流されるわけですが、この人たちが勉強してきた「経済学」の至らなさに起因する問題が様々に起こっています。

□経済に対する疑念
佐伯啓思『「欲望」と資本主義』―終わり無き拡張の論理―
講談社現代新書 1993年
著者は早くから“資本主義の行き詰まり”と新しい方向の模索を考究している人ですね。
「成功するが故に没落する」シュンペーターやケインズという20世紀を代表した経済学者の予見が実現されようとしているかに見える時、如何に破局を回避するか、「産業資本主義との訣別」が著者が模索する方向ですが、まだ漠としています。
佐伯さんでは、毎度おなじみの
“幻想のグローバル資本主義”二部作:
上『アダムスミスの誤算』PHP選書 1999年
人間の「自然的性行」はなぜ人間を裏切ったか
下『ケインズの予言』
われわれは、①生活財を得る手段として生産過程に参加する ②生産過程で得た所得をもって生活を営む というあり方を持っているわけですが、経済のグローバル化は、より効率的な生産こそが追求すべき経済活動の目的だという短視的な錯誤に基づいて①と②を切り離したうえに成り立っています。
生産に関わる人(社員・賃労働者)と生産物を消費することで自分の生活を営んでいる人(消費者)は同じ一人の人間のそれぞれの側面である、ということを知らないかのように振る舞うのがグローバル経済ですね。

(この話題は続きます)
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