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手段としての通行量も目標としての通行量も

承前

 役に立たないどころか、以下に説明するとおり、取り組みを誤らせ街を再起不能におとしいれてしまいます。

 商店街組織が長年にわたって取り組んでいる事業の一つに「通行量調査」があります。
街区内の要点の通行量の変遷を把握する、つまり商店街にショッピングに訪れる客数の消長を把握することで、商店街の「買い物の場」としての増減を把握し、「商店街活性化」の必要性について問題意識を共有することがその目的です。
①調査した結果、通行量が減少傾向にあることが明確になった
②これは、商店街の「買い物の場」としての魅力が減衰し、お客の足が向かなくなっていることを示している
③「買い物の場」としての魅力の充実に努めなければならない
ということで
④関係者一同、商店街の“買い物の場としての魅力の充実”に向けて為すべきことに取り組む
という機運を作り上げる、手段として利用されることが「通行量調査」の目的です。

ところが、はじめは〈手段〉として「調査」の対象だった通行量が、いつの間にか“通行量を増やせば商店街は賑わいを取り戻せる”ということで調査対象から事業目的に変わってしまうと言う倒錯が生まれました。

このプロセスはきちんと理解しておかなければならない。
商店街に軒を連ねる各個店の業績が悪化している、売り上げが低迷状態に陥っていることは、特に交通量などを調査しなくても、それぞれ売り上げの推移を持ち寄れば一目瞭然です。
これは一国一城の主を自負する皆さんにとっては至難のことですから、これに代わる客観的証拠として「通行量調査」が行われるわけです。
来街客が減っているということは、商店街の買い物の場としての魅力が劣化しているということであり、突き詰めれば各個店の売場が劣化しており、その結果業績が悪化している、ということですね。

すなわち、通行量調査の目的は、口に出せない「各個店の売場の劣化・業績の低迷」という商店街の全般的な問題状況を理解し、「活性化」に向けた努力を始めるための「合意形成」の手段だったと考えられます。それとも他に目的があったでしょうか?

このような目的をもって始められた通行量調査ですが、いつの間にか“商店街が衰退しているのは通行量が減ったから、通行量を増やせば商店街は活性化し、個店の業績は回復する”という〈論理のすり替え〉が行われました。
店前通行量さえ増えれば商売繁盛間違いなし、誰か通行量を増やしてくれ。

ということで、あれこれと「通行量増大策」が講じられました。ご承知のとおり、施策の多くは所期の成果を挙げることは出来ませんでしたが、中には例外的に通行量の増大を実現した例もあります。しかし、この場合もその結果として「個店の業績の向上」にはつながりませんでした。
“組合の仕事は店前通行量を増やすこと、増えた通行量を入店客にするのは個店の責任”ということが公然と言われました。時に今でもいう人がいます。

通行量を入店客にするには、個店の売場に“思わず入ってみたくなる”魅力があるということを意味します。もちろん、そういう店には日頃から「来店客」で繁盛しているはずですから、あらためて「活性化事業」に取り組む必要は無いはずです。
他方、活性化が必要なお店は、日頃から思うように「来店客」が来ない・買い物の場としての魅力に乏しいお店です。
魅力に乏しいお店の店前通行量が増えたからといって、その人たちが入店客・買い物客になるはずがない。

ということで、通行量増大作戦は業績低迷に悩む個店~商店街の活性化策としては効果が無い、という日頃関係者が痛感していることの原因は単純明快です。

さて、総務省の行政評価で「数値目標」として例示されたなかに「通行量」が入っていますが、いったい、通行量という数値目標は何を意味しているのか?

 数値目標は、「目標達成の度合いを把握する」ことを目的に設定されることになっています。
つまり、数値目標としての通行量の設定は“これを測定すれば「商業の活性化」の進展具合が把握できる”項目として選択されているわけです。
ここのところ、お間違いの無いように。

通行量という数値目標は、
×通行量を増やせば商店街の「買い物の場」としての利用が増し、商店街が活性化する
からではなく、
○通行量の推移を把握することで商店街の「買い物の場」としての魅力の変化が把握できる
ということから「例示」されているのではないでしょうか?

(実際のところ、何故通行量が数値目標として例示されたのか、ということは当事者に聞かなければ分かりませんが、通行量と「買い物の場」との関係を考えれば、当然こういう理解が成り立ちます。)

通行量調査は、「買い物の場」の商圏内における支持状況の把握には有効だが、通行量増大策は、商店街活性化策としてはあまり効果が期待できない、ということです。

とするならば、ここから極めて重要な結論が導き出されます。
それは、
「中心市街地・商業の活性化を実現するために設定する目標」は「通行量の増大」ではあり得ない、ということです。
よろしいですか。
とりあえず、
①商店街活性化の取り組みの現状を把握する手段として通行量を設定するのはOKだが、
②商店街を活性化する手段として通行量の増大に取り組むのは本末転倒だ、
ということです。

さらに問題がありまして。
では、「商店街活性化の進展度合い」を図る目安として設定する通行量の具体的な「数値」はどのようにして決定したらよいのでしょうか?
現在の数値を基準に増減を把握するのは簡単ですが、増減の結果で商店街の活性化の度合いを把握するというのは、現在の数値とは関係なく「活性化された状況における通行量」を設定してこれへの接近度合いで取り組みの効果を判断する、ということになります。
もちろん、「取り組み」は通行量増大の為の事業ではなくて、商店街を買い物の場として再構築するための事業ですね。

「数値目標」に期待されている機能を果たすために「通行量」を選択した場合、通行量の数値目標は何を根拠に設定すべきか?
これは大変難しい作業だと思います。現状、目的を果たす機能を持った数値を合理的に設定することが出来るでしょうか?

 というようにちょっと詳しく考えてみますと、「通行量」は、商業・商店街活性化を実現するための手段としても、また、活性化の進展度合いを把握する道具としても適性を備えていない、使い物にならないことが明らかです。

 商業・商店街活性化を実現するための取り組みとして、「通行量を増やす」ことはナンセンスであるばかりでなく、活性化の進展度合いを把握する尺度としても使えない、というのが「通行量という数値目標」です。

 「通行量」を追いかけている間は商業・商店街活性化は実現できません。
従来のいきさつにとらわれることなく、商業・商店街活性化の目標は「魅力ある買い物の場としての再構築」、その達成は「再構築に必要な事業の進捗状況」について下位目標群を設定し、それらを達成する努力によって実現する。当たり前のことです。
さらに達成状況の把握は、下位目標群についての数値目標を設定し、その達成度合いをもって判断する、ということになります。

 各般の取り組みが整斉と実施され効果をもたらせば、やがて商店街の通行量は漸増して来ることでしょう。商店街活性化と通行量の関係とはそういうものではないでしょうか。
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  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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