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小売業における立地の考え方

 中心市街地活性化の基本課題は商業街区の活性化であり、そのまた中心となる課題は、既存個店の活性化すなわち劣化スパイラルに陥っている商店街所在の各個店をあらためて繁盛させる、ということです。

 既存個店の繁盛は、取り組みの大きな目的であることは、関係者に共通した認識ですが、実現の方法をめぐってはいくつかの対立する考え方があります。
そのもとになっているのは、“小売業とはどういう事業か”という理解・認識の違いです。

 小売業についての認識・理解を「立地」についての考え方で分けますと、大きく二つに分けることができます。

①小売業とは立地依存産業である、という考え方 
 この考え方によれば
 ○商業が成功するためには立地のいいところに店を出すこと
 ○いい立地とは人口や人出が多いところである
 ○商業が空洞化するのは立地条件が劣化したからであり
 ○活性化するためには立地条件を改善しなければならない
 という推論にもとづいて「活性化施策」が講じられます。
 
  多くの基本計画はこのような小売商業観をもとに立てられていることを確認してください。

 もう一つは、
②小売業とは立地創造産業である という考え方。
 ○小売業にとって大事なことはお客から見た「来店目的」を作ることである
 ○「立地」は来店目的を実現するための条件の一つである

 個々の商業者の出店戦略は、立地についての考え方で①を取るか、②を取るかで大きく変わります。 
①はお客の多いところに出店する、②はお客の集まりやすいところに出店する ということになるわけです。

 この違いは、立地選定に止まらず経営戦略全体に大きく影響するものです。例えば新規出店する場合、
①の視点を取る企業は、業容は一定のまま、業容が適合する立地を
選定して出店する、ということになり、
②の場合は、様々な条件を総合して立地を決定したら、立地特性に応じて業容を変えることで「集客」を実現することになります。

 この違いは大変大きいものです。
商店街活性化に取り組む場合、①と②では取り組みの内容に雲泥の差があります。

1.小売業=立地依存産業という立場の場合
 小売業の衰退は即立地条件の劣化によるものであり、活性化するためには、立地条件を改善しなければならない、という理屈から、
①立地条件の基本である「住む人・来る人を増やす」
②集客力のある施設を導入する
③集客イベントに取り組む
などが主な施策になります。
 「立地依存派」にとって、もっとも有効な繁盛再生の手段は「立地移動」ですが、中心市街地・商店街の場合、それは「出来ない相談」で有り、次善の策として上記のような施策に取り組まれるわけです。
 しかし、そもそも肝心要の「立地条件」で郊外に負けている(というのが彼らの基本認識)わけですから、内心、施策の効果には疑問を感じています。疑問があるために、なかなかホンキになれない、という欠陥があります。

2.小売業は立地創造業である、という立場
 小売業の衰退は、当該店舗あるいは商業集積を買い物行き先とする消費購買ニーズと現に提供している小売機能(品揃え・サービスミックス・売場環境)との間にミスマッチが生じており、お客の「買い物行き先」としての評価が低下していることが原因で起こる、と考えます。
 活性化するためには、消費購買行動の変化、競争環境の変化を確認して、来店目的・来街目的を再構築しなければならない。
つまり、モロモロの商業施設・機能の立地を前提にしながら、中心市街地・商店街立地で成立する小売業のあり方を考え、実現しないと活性化することは出来ない、という考え方になります。
 従ってその取り組みは、
①「郊外型商業」の全盛時代において
②中心市街地・商店街で成立可能な小売業のあり方を定義し
③既存個店・集積の自助努力をもってその実現を目指す
ということになります。

 現在、主流となっているのは「小売業=立地依存産業」という認識に基づく取り組みですが、これはことごとく失敗しているのは既にご承知のとおりです。
特に注意すべきは「集客核」についての考え方。
「立地主義」の場合、「来店目的」は軽視する傾向が強く、核を作る場合にもその「来店目的」はほとんど検討されないまま、「見よう見まね」で作られることが多く、その結果、「核」になるどころか、自分の存続さえ赤信号が点っている、という例が多いということです。「集客核」と位置づけられて取り組まれる大型施設づくりの多くは、自分たちが考えている「立地理論」を無視しています。
立地理論も来店目的も無視して作った施設がうまく行くはずがありません。まして、「核」になれるなどということは金輪際あり得ないことです。

 如何ですか?
立地依存と立地創造、立地についての考え方がちがうと、取り組みの全体が大きく変わり、その結果もまた大きく異なってきます。

 皆さんの基本計画、皆さんの商店街・個店活性化の取り組みの基本にあるのは、
「立地依存」という考え方ですか、それとも
「立地創造」という考え方ですか?

 あらためて確認してみると、いろいろと見えてくることがあります。
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  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
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