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商人塾と高度化事業

 近年、小売商業高度化事業の上位目標は、「業種揃え・店揃えの最適化」である、とされています。
残念ながらほとんど普及していませんが。
基本計画に掲げている例でも空店舗に欠業種を誘致する、といった従来からの「空店舗活用」の域を脱していないようです。
本当は、「テナントミックスの最適化」のことであり、したがって、商業集積としての「デスティネーション(分担する商業機能)を明確に定義してからでないとほとんど効果がないことは、既に幾度も説明してきたとおりです。
中小小売商業高度化事業の目的が明確に「業種揃え・店揃えの最適化=テナントミックスの追求」に変化したのは、「整備改善活性化法」が制定され、「基本的な方針」が示されてからですね。以来、今日まで中小小売商業高度化事業の目的は変わっていません。

 商店街活性化が「中心市街地活性化」というスキームで取り組まれるようになる以前、各商店街単位で取り組まれていた当時、商店街vs大規模店間に競争が激化していた当時の高度化事業の主要な任務は「規模のメリット」を実現することでした。

 商店街立地の小売店は大型店との競争に「経営の規模」において遅れを取っていることから、これに対抗するために店舗規模、経営行動の両面にわたって、「共同事業」に取り組むことが必要であるとして、共同施設事業、共同経済事業というジャンルで高度化事業が準備されました。
 共同店舗、アーケード、カラー舗装、スタンプカードなどの事業が実施されました。言ってみれば、中小小売店が共同化することで大型店の「規模」に対抗しようとしたわけです。

 当時の高度化事業の評価については、これまで述べていますので割愛するとして、当時の取り組みに欠けていたのは、大型店対策が「見た目に映った」大型店への対抗策でしかなかった、ということです。大型店(チェーンストア)の特徴は、規模ではなく、組織・人材開発という側面にもあったわけで、当時、大型店の従業員は企業内教育システム、外部セミナーへの派遣という企業の取り組みばかりではなく、時間外にも自費でセミナーや通信教育を受講するなど能力開発に懸命でした。
米国渡来のスーパーマーケット企業として成長していくためには、同じ方向を目指す同業他社との激烈な競争にうち勝つことが課題であり、その武器は「人材」でした。

 同じ時期、商店街では何に取り組んでいたかといえば、上記のようなレベルの高度化事業や販促事業など、「能力開発・勉強」といえば、年に一、二度開催する毒にも薬にもならないレベルの「精神教育」程度でしたから、とても話になりません。
「人材開発」という問題意識はほとんど無く、“個店の経営者は商売のプロ、商売の仕方についてあれこれ指摘するのは失礼”ということでした。その流れは今でも健在、“組合はイベントで人を集めるのが仕事、集めた人お客にするのは個店の仕事”といったデタラメがまかり通っています。
劣化スパイラルに転落している個店が通行人を入店客に出来るはずが無い。

 当時取り組まれた高度化事業の成果は、「対大型店」で効果があったというより、もっぱら「高度化事業に取り組まない・隣接商店街との競争戦術」というレベルでした。
高度化事業で建設された共同店舗は、チェーン型大型店同様に商店街に打撃を与えましたし、高度化事業の成功事例といわれる商店街には、競争に敗れて空洞化著しい商店街が「セット」になっていたものでした。
 最近の「成功事例」にもたぶん、「劣化スパイラル」が加速化した商店街がセットになっているのではないでしょうか。

 さて、新スキームにおいて「小売商業高度化事業」は、“中小小売商業の競争力の根幹である「業種揃え・店揃えの最適化」を実現する”枠組みとして活用することが期待されています。
今どきの「業種揃え・店揃え」とは、ショッピングセンターで言えば「テナントミックス」のこと、商店街既存の各店舗も基本計画が目指す新しい「商業集積」を構成する「テナント」にふさわしい業容に転換していくことが必要です。
この転換が無ければ、テナントミックスは「コトバ遊び」に終わります。また、取り組みの結果全体が活性化しても、転換に取り組まなかった旧態依然の店舗の業績は劣化スパイラル・錐もみ状態が加速するだけ、ひいては商店街活性化の足を引っ張る存在になっていきます。

 ということで、中小小売商業高度化事業の成果を挙げるためには「テナントミックスの最適化」に追求が不可欠であり、これはいますぐ・業績不振に悩む既存個店の「繁昌回復」の取り組みとして推進されることが望ましい。
核店舗を誘致すれば回遊が発生し、頑張る店も旧態依然の店も一様にその恩恵を被ることが出来る、などというのは“基本計画”の世界にしかない絵空事です。

 「勉強無くして・個店転換無くして高度化無し」です。
一時的な成功事例は半年もすればメッキが剥がれ始めます。

 ということで、当社提供の「商人塾」は、有志が取り組む個店レベルの業容転換からスタートする「ショッピングモール」としての再構築の道です。
これに取り組まない商店街、中心市街地は、どういう手法をもって「小売商業の高度化」を実現しようと言うのか?
もちろん、見よう見まねで作られた『基本計画』にはこういうことは一言も触れられておりません。
さあ、どうしましょうか?

 このところ数回に渡って中心市街地活性化を推進していく上での、「戦略的事業としての商人塾」についてその機能・効果を様々な角度から述べてみました。

 目下、当社が提案している「商人塾」に代替可能な事業プログラムは存在しないと思います。
事業全体の起死回生策としての採用をお奨めします。

 もちろん、「商人塾」は当社流であることが絶対条件、他に類似の企画があっても、目的・内容でまったく異なっています。
この点、くれぐれもお間違いの無いように。
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進化する売場研究会

  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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