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地場中小小売業と都市経営

 中心市街地活性化の取り組み、『基本計画』に欠かせないのが「都市経営における中小小売業の位置づけ」です。
が、これを明示している『基本計画』は、管見の限り、ありませんね。中心市街地に立地する小売業、商店街の活性化は、なぜ都市経営の一環として、それも他に優先して取り組まなければならないのか?
『基本計画』では、「基本方針」の項、イの一番に特筆大書しておかなければならないことですね。

 ちなみに。
『中心市街地活性化基本計画』は、支援する側も含めてほとんどすべての関係者が、所要の知識・理論・技術の装備が著しく不足している段階から着手する「中心市街地の商店街・商業機能再構築」の「段取り」ですから、基本計画において駆使されている知識・理論・技術についての理解の共有は大前提、「解説書」的機能も備えておかなければならない。
脚注や索引や用語集が揃っていてはじめて「役に立つ計画」のレベルですが、実際はどうでしょうか。
「ショッピングモールをめざす」などと掲げつつ、その定義も行われていませんからね。
「テナントミックス」と言っても「テナントミックス」を駆使して実現を目指す商業集積として分担実現を目指すショッピングデスティネーションが決定されていない・・・。

 ということで、これから続々と認定一周年を迎える『基本計画』ですが、見なおすならいっときもお早く、というのがお奨めです。
見直し段階では、使っている用語についてはきちんと理解しているかどうか、ということもあらためてチェックしてみられることをお奨めします。当の本人さんが余り理解していない・納得していない段取りで他人に動いてもらうというのは無理な話ではないでしょうか。

 それでは本論へ。
小売業は、
①生活財を
②他から調達又は見ずから製造して
③最終購買者に販売する
という社会的機能を担っています。ご承知のとおり。
行動範囲に適切な小売業が立地してないと、生活が成立しません。
病院は必要が生じたときに出掛けるインフラですが、小売業は日々・恒常的に利用できないと生活が成り立たないインフラです。

 都市に立地している小売業は、上述のとおり、住民にとって必要な不可欠な「都市機能」だということは言うまでもありません。
小売業へのアクセスがうまく行かない土地は生活立地としては「不都合」であり、買い物できる場所へ移住を余儀なくされますからね。

 さて、「都市機能としての小売業」は、三つの視点からとらえることが出来ます。

①商業者の事業機会
②都市住民の生活インフラ
③都市空間の占有者

①がダメになると、②に支障を来し、③の空間活用の効果効能が劣化する、ということですね。
総じて「都市的魅力」が劣化することになる。

ちなみに成熟社会というのは、ゼロサムですから、周辺都市との「都市間競争」が恒常的に発生しています。
行き甲斐のある「ショッピングの場」の有無は、「都市的魅力」の十分条件でありまして、わざわざ天神まで「買い出し」に出掛けなければならない、というのは都市機能としての小売業が劣化しているから、ですね。
で、天神に出掛けて何が入手できるかと言えば、“わざわざ出掛けては見たものの・・”ということ印でありまして今後この傾向は、どんどん傾斜していきます。
天神に変わる買い物行き先を誰かがどこかに提供しなければならない。
都市中心商店街の新しい事業機会です。

 都市機能としての小売業、不可欠の存在であり、都市はその充実に努めなければなりませんが、その努力は当然ながら、端的に「魅力ある売場の確保」にも向かわなければならない。
「人出が増えれば魅力ある売り場が確保される」というのは藻谷氏及び“数値目標に「通行量」を採用している『基本計画』”に共通する思いこみです。
思いこみというのは、他でもありません。
“何でそうなるのか”という説明が欠落していますからね。
「商業は街の花」根があって茎があって・・・というのは説明になりません。

 商業活性化の取り組みにはタブーがありましrて、シャッターの内側については一切触れてはならない、ということになっています。
 どうしてこういうことになっているのか?
潜在的な要因の一つは、小売業が個別事業者の営利機会として営まれている、ということ。
どうして個人が儲かるためにやっている事業を公金を使って支援しなければならないのか?

 担当者の脳裏からひとときも離れない疑問ですが、理由は簡単、
①小売業がダメになると
②都市住民の生活に不便を来す
③占有地を中心に都市空間・環境が劣化する
④経営コスト原資の収入が減少する
⑤都市間競争(都市機能的魅力提供競争)に後れをとり
⑥都市経営上、大きなマイナスを生じる
ということから。

 特に注目しなければいけないのは、当面、小売業者には代替がない、ということです。廃業者がでるとその分確実に商業機能の潜在的な可能性(=活性化への可能性)が減少します。
いまどき、わざわざ商店街で創業しようという物好きは少ないですからね。

 何が何でも、なだめても脅かしても、頑張ってもらい、「中心市街地活性化」の一翼を担わせなければならない。
というのが、中心市街地在住のシャッターの内側に問題山積の中小小売業者の「都市経営上のポジション」です。
商業者の現状を放置しながら、「人出を増やせば魅力的な売場が忽然と現れる」というのは極めて悪質の冗談です。

 もし、冗談ではない、本気で信じていたりすると・・・。

 ということで、皆さんの『基本計画』、
①中小小売業の都市経営上のポジション
②既存小売業者の活性化の重要性
③活性化実現の方向と方法
④必要な施策群
⑤ロードマップ
がセットで展開されているでしょうか?
セットで揃っていてはじめて「中心市街地活性化基本計画」が、中心市街地活性の段取りとして機能することになります。セットでないと段取りになりません。
 
 商店街の皆さん取り組みの段取りといて納得してもらい、共通の土俵に上らないと、彼らの取り組みを叱咤激励することが出来ません。
いつも申しあげているとおり、小売業者は廃業すればそれでお終い、ですが、商店街、中心市街地、都市にとっては「当面代替策が講じにくい都市機能の劣化」がさらに進むことを意味します。
 個人の営利事業だから、支援は無理・・などと言っている余裕はないはず、支援の実施に向けて早急に知恵を出さなくては。
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  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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