FC2ブログ

タウンマネージャーさんの憂鬱

 「法」改正以来、生彩を欠いているのがTMOですね。とんでもないことですが。

 TMOの法的根拠は、『基本計画』に記載されているさまざまな「中小小売商業高度化事業」の実施についてとりまとめ、総合的な「構想」を作成、市町村に提出して認定を受けたもの、ということでした。いろいろ問題がありました。

 第一に、「中心市街地活性化」における「中小小売商業高度化事業」のポジション。なぜ、「中小小売商業高度化事業」の「構想」をまとめたものが「TMO=タウンマネジメント機構」になるのか、それは当然、「高度化事業」が中心市街地活性化の成否を制する事業だから、ということでしょう。
このことを理解するためには、高度化事業と「競争力の根幹である業種揃え・店揃え」との連関が理解されていることが必要です。
高度化事業は、「中心市街地を一個のショッピングモールに見立てて再構築する」という取り組みの根幹である「売り場連携」を推進する強力かつ運用が難しい道具です。これを使いこなすには相当の能力が必要でした。(もちろん今でもそうですが)

 もっとも重要な仕事は、基本計画が掲げる「一体的推進の目標」を達成・実現する方向で「商業者の自助努力を組織化する」ことでしたが、これに着手できたTMOはほとんど皆無だったのではないでしょうか。TMOの仕事のキモはここだということさえ理解されていなかったと思います。
このことが旧スキームの挫折の大きな要因です。

第二に。
 TMOが上のような本来的な任務を達成するには、相当の「経営資源」と「オーソライズ」を必要としたのですが、「問題意識の水準」からこのことは重視されませんでした。全体の取り組みのなかで占める位置、果たす役割も認識されず、「会議所方式=企画調整型」か「三セク方式=プロパー事業推進型」、どちらのTMOも本来あるべき姿にはほど遠いものでした。
 
 市町村は、中心市街地活性化の取り組み全体で実現しようとする「一体的推進の目標」が「商業者の自助努力の組織化で実現する売り場連携によるショッピングモールとしての再構築」であるということを認識していませんでした。「背景理論」が無かったからですね。

 したがって、「中小小売商業高度化事業構想者」であるTMOが、‘中心市街地活性化の全体としての「司令塔」である’、‘でなければ目的は達成できない’ということに想到出来ず、したがってTMOが司令塔して機能するために必要な各般の措置を取ることもありませんでした。
任務も権限も能力も与えられていないTMO、これが今日までずうっと続いているわけですね。

  さて、このような状況におかれているTMOですが、どういうわけか「タウンマネージャー」が設置されています。
本来、タウンマネージャーは、「自助努力の組織化で実現する売り場連携によるショッピングモールとしての中心市街地の再構築」の全体を総括・指導することが任務です。
なかなか高度な能力が必要なポジションですが、TMOの任務が明確でないことから、適材を確保し得ていないところが多い。
「適材」のスペックがわかりませんから当然といえば当然ですが。

  タウンマネージャーには「ショッピングモールをめざす」という文言に幻惑されてショッピングセンターのマネジメント経験者を宛てることが多いようですが、これは、一般にミスキャストでした。
SCマネジメントの経験者にとって販促やTMOが実施するプロパーの事業の推進は経験の範疇内でしたが、中心市街地が目指す「ショッピングモール」の理解や、「自助努力の組織化による売り場連携の創出」という正面任務については、従来の経験を越えていましたから。

  ということで、今日に至るもTMOは、みずから取得した施設の管理や共同販促の実施というレベルにとどまっており、本来業務・正面業務は手つかず、という状況にあるわけです。

  「法」改正によって「TMO」という名称は消滅し、「高度化事業の上位目的」は明確にされないまま、『認定・基本計画』の作成が急がれているわけですが、ここでまた大きな問題が浮上しています。

  新しい『基本計画』に組み込まれている「商業の活性化」を推進するのは誰か? という問題。

  認定済みの『基本計画』は、“中心市街地活性化協議会において定める”としているものが多いようですが、「認定」を控えた基本計画段階で決められなかった推進体制を、この後誰がどう構築するのか、その体制は何によってオーソライズされるのか、ということがその内容です。
 この問題、気づいている市町村はきわめて少ないと思いますが、取り組みの有無が「商業の活性化」の成否を左右します。認定後、このことに気づいたところもあるかも知れません。無いかも知れません。

  さて、当サイトには現役のタウンマネージャーさんたちがよくお出でになります。当サイトの常連さんですから、当然、その問題意識は当サイトのそれと共通しています。

  意欲旺盛、能力完備のタウンマネージャーさんたち、『新基本計画』の作成に当たっては、これまでの実務体験の総括を踏まえつつ中心的なポジションを占め、今度こそ「実効ある計画」を作るべく張り切っていたところ、実際に参画するのは「活性化協議会」のほうだけ、計画作成の委員会はせいぜいオブザーバーとしての参加、というケースが多いようです。

  もったいない話ですね。せっかく意欲と能力のある人材を確保しておきながら、活用できないわけです。

  一を見て十を妄想するコンサルタントの習性としては、こういう状況から直ちに、
①新基本計画の作成に当たっている陣容は、自分たちが取り組んでいる問題を理解していない
②したがって、出来上がる計画は、従前と同じレベル
③結果、新しい取り組みの結果は、前車の轍の跡
ということが見て取れるのでありまして、これはもちろん、現職のタウンマネージャーさんのうち、特に優秀な人たち、当サイトが提唱している方向と方法による中心市街地活性化の推進の「司令塔」の主要メンバーとして活躍する意欲と能力をお持ちの皆さんにも当然、洞察されているところです。

  この時期、タウンマネージャーさんの悩みは、せっかく装備している理論的・実践的能力が、今後自分の仕事のフレームとなる『基本計画』の作成に活用できないことですね。
もちろん、自分が参加しなくてもきちんとした『基本計画』が作られれば良いのですが、自分をはずして作る計画がどういうところに落ち着くのか、想定できないマネージャーさんではありませんから、その悩みはますます深い・・・。

  で、計画作成主体である市町村はといえば、自分とこで現在確保しているタウンマネージャーがどのような能力を持っているのか、それはタウンマネージャーに要求される能力として妥当か否か、といったことは一切把握していない、場合にうよっては把握する必要さえ自覚されていないわけですからねぇ・・・。

  タウンマネージャーさんは、マジメに職責を全うしようとすれば孤立無援のなかで自分の発言権を自分のチカラで獲得して行かなければならない。
そんなつもりで引き受けた仕事では無かったのですが、そんな仕事だったわけですね。

  ということで、思い当たる市町村の担当者さんは、あらためて「おらがのタウンマネージャーってどんな人だったかな」というところから確認することが必要です。
権限も資源も与えずに「まちづくりNPO」的役割に終始させていたのでは、「中心市街地のショッピングデスティネーションとしての再構築」などは夢のまた夢に終わること、間違いなし。

 当サイトが提唱する「への道」を実践するにはタウンマネージャー(名称はともかく)の職能を遂行できる人材の確保が不可欠、それも「基本計画」作成段階から配置して、プランニング業務に参画させることが、「認定」後を睨めば当然の措置です。

 以上はもちろん、当サイトご愛顧の皆さんに限定しての問題提起、当サイトと縁のない中心市街地にはそれこそ縁のない話ですね。

 ピンと来ない人は、このあたりの記事など。

『基本計画」とTMO について論じます。
論じますが、さて、実務遂行に役立ちますかしら。
作成済みor作成中の基本計画の実務に役に立たないようだと、当社の勘違いかもしくは皆さん、「役に立たない基本計画」を作っていらっしゃることになるかも知れませんのですが・・・。
-
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
ご案内
こちらは、コンサルタント・ファーム、有限会社クオールエイドのホームページの別館です。 商店街・中心市街地活性化関係の業務を中心に展開しています。 ご利用法について。 当ブログには、当該部門について、他では入手困難な情報をたくさん提供しています。 「ブログ内検索」で抽出、ご利用ください。 各種掲示板、ホームページ過去記事などは左欄の目次からアクセスできます。 引き続きよろしくお願いいたします。
プロフィール

進化する売場研究会

  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
ブログ内検索
アクセスカウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
月別アーカイブ