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「総括」の難しさ

 『海軍戦争検討会議記録』(新名丈夫 毎日新聞社 1976/12)という本があります。

 敗戦直後の20年12月から翌年1月にかけて、海軍の首脳メンバーが一堂に会すること四回、開戦の経緯を中心に、戦争の統括を行いました。

著者の新名さんは、海軍に近い新聞記者でした。
参照:竹槍事件

 検討会議の内容は、開戦当時、「どうして陸軍の暴走を止められなかったか」というテーマがメインで、これはつまり、「悪かったのは暴走した陸軍」ということです。
海軍の責任は暴走を制止できなかった、という責任しかない?

 記録はさっそく英訳されてGHQに届けられたとかで、極東軍事裁判、その他、海軍善玉・陸軍悪玉という風潮の醸成に力を発揮しまして、今日でも大筋はそういうことになっているようですが、果たして海軍はホントに善玉だったのか・・・?
そんなことはないですよね。

 「総括」というのは、いろんな機能を持っているわけで、折しも敗戦記念日間近の今日この頃ですが、半世紀以上前の戦争の本格的な「総括」がお行われないまま今日を迎えている、ということ自体をどう「総括」するのか、ということを考えてみなければならない時期かも知れません。

 日中事変の膠着を打破することを目的とした南方進出が直接のきっかけでハルノートが出てきます。
「こういう条件が出てくれば、主権国家なら戦争以外に選択の余地はない」とはよく聞かれることですが、そもそもどうしてハルノートが出てきたかと言えば、日中事変の処理のまずさに付け入られたもの、日米戦争=日中事変処理の行き着くところでした。

 したがって、わが国では一部の軍人を除いて、日米開戦は“出来れば回避したい”方向で一致しており、にもかかわらず“成り行きで突入した”という性格が濃いわけですが、他方、中・英・独・ソ・中その他から見れば「待ちに待っていた日米開戦」でした。
太平洋戦争の失敗・10のポイント

 検討会議記録にみられる海軍の「総括」は、敗戦直後の責任論議からの緊急避難策ですから本当の総括にはなっていません。
一般に「総括」の内容は、その目的によって大きく左右されます。白紙の状態で虚心に振り返る、などということは、人間の「考える」作業の特性上、出来ない相談です。
検討会議における「戦争の統括」は見事、所期の目的を達成しました。

 ここからが今日の本論。
中心市街地活性化の取り組みにおいては、「ここまでの取り組みをどう総括するか」ということが大きな問題です。新しい取り組みの方向を決定するに先立って、これまでの取り組みはなぜ効果が得られなかったかを理解しておくことは、きわめて重要なことです。
総括に取り組みにあたっては、“なぜ「総括」が必要か」、その目的を関係者が共有することが大切です。もちろん目的は責任追及ではなく、活性化の実を挙げ得る新しい取り組みを構想するため、です。

 もう一つ大事なことがありまして。
どういう視点で総括するか、ということですね。
従来の計画に取り組んできた「視点」を持続したままの「総括」では、単に取り組みの規模や事業範囲を拡大する方向で話が収まるかも知れません。
曰く“取り組みが商業に偏重していた”、曰く“人口減少への対策を考えていなかった”etc.,・・・・・

 実効的な総括は、実効的な「活性化への道」を獲得してはじめて可能になることかも知れません。

 必要な総括は、「これまでの取り組みは、活性化実現のシナリオを欠いたものだった」という事実を直視するものでなければならないのですが、このことを認識するためには、実現可能な「活性化への道」をある程度理解してから、その立場で検討するほうが取り組みやすいかも知れません。

 「活性化への道」についての理解が共有されれば、これまでの取り組みはなぜ成功しなかったか、その理由がよく理解できますから「総括」は難しくありません。
逆に、「活性化への道」が共有されていない段階で「総括」を共有し、その後に「活性化への道」を模索しようとするのは、きわめて難しいと思います。
「総括」の段階で「思惑」が火花を散らしたりしそうです。

 まずは、「新しい取り組みの提案」として、「活性化への道」をみんなで検討する機会を持つ、というのが良いと思います。

 総括が先か、新しい提案の検討が先か。
新しい「活性化への道」を検討・共有できれば、これまでの総括はすぐに出来ます。
方向が共有されない段階での「総括」作業は、海軍的緊急雛に終わりそうで、そこから新しい方向が見えてくる、ということはいっさいありません。

 今秋早々の取り組みは、

改正中心市街地活性化法のスキームによる
中心市街地活性化実現の方向と方法
    合意形成セミナー

の開催からスタート、という方法を提案いたします。

提案の内容が各方面に理解されると、その立場から「これまでの取り組みの総括」が出来るようになります。
視点が共有されないと、百家争鳴、いずれもごもっともな感想ばかりが並列されるだけ、新しい方向を切り開くという機能をもった総括にはなりにくい。


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