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「ショッピングモール」見立て

□サイトの仕事

 【都市経営・入門編】で考察中の「新基本計画の諸問題」を論じています。これは、青森・岐阜両市の計画のケーススタディをはじめ、新しく作られ、Web上に公開されている基本計画などを勉強した「総括」として書いているものです。
多くの都市が目下基本計画の作成に取り組まれている折から、このような問題提起を行うことは、作成プロセスに大きくプラスになると自負するものですが、もちろん、活用できる場合に限られます。

 引き続き、これから商業活性化のための事業群を一体的に推進することで実現を目指す、「中心市街地の商業機能のあるべき姿」を構想する、という領域の問題に取り組んでいく予定です。

□目指すべき「あるべき姿」

 中心市街地・商業の活性化に取り組むにあたって、イの一番にアタマに浮かぶのは(浮かばなければならないのは)、「郊外のショッピングセンターとの位置関係」をどう構想するか、ということでありまして、
もちろん、これは「ショッピングの場」としての機能分担のこと、空間的・立地関係のことでは無い、ということはいうまでもありません。
 中心市街地は全盛を極めるショッピングセンターとどのように役割分担をするのか、どう「棲み分け」を達成していくのか、ということです。この問題に答えを見いださない限り、中心市街地活性化は、空回りしつつ、空洞化を加速する可能性が高い。

 旧計画はもとより、新しく認定された『基本計画』のほとんどにおいてもこの最重要問題が見落とされているため、このままでは“活性化事業に取り組めば空洞化が加速する」というこれまでの取り組みのあり方から脱出することが出来ないのではないか、大いに懸念されるところです。
 
 さて、旧スキームでは「中心市街地の商業集積群を一個のショッピングモールに見立てて再構築する」ことが提唱されていました(中小企業庁『TMOマニュアルQ&A版』平成12年)。
これは、「市街地の整備改善事業」と「商業等の活性化のための事業」と一体的に推進し中心市街地の活性化を実現する「一体的推進の目標」となるべき提唱でした。
(詳細はサイト内検索で確認してください)
 残念ながら、既存の基本計画において、このような方向を目指した都市はきわめて限られていたと思います。

 「ショッピングモール見立て」という方向については、総務省の行政評価や新基本方針でも一切ふれられておりませんが、一方、これに変わる「一体的推進の目標」も示されておりません。このことは、きわめて重要なことを意味しています。すなわち、

□中心市街地の商業の活性化について

①市街地の整備改善事業と ②商業の活性化のための事業を ③一体的に推進することにより ④実現を目指す「一体的推進の目標」 を都市独自に確立しなければならない、というわけです。
 さらに、
⑥確立を目指す目標は、設置を目指す都市福祉施設や ⑥推進されるまちなか居住とも ⑦相乗効果を発揮する方向で設定することが望ましい、ことは言うまでもありません。

 「中心市街地活性化の基本的な目標」は、この文脈で設定されなければならず、「賑わい創出」や「コンパクトな中心市街地」といった抽象的な文言では、計画全体をリードする目標としては役に立ちません。
取り組むべき事業を構想・選択する基準としては使えないキャッチコピーのレベルです。

 前述のとおり、スキームでは「ショッピングモール見立て」以外に一体的推進の目標は提案されておりませんが、近年、活性化の手法として“ショッピングセンター、ショッピングモールに見立てる”という方向を採用するところが多くなってきました。タウンマネージャーとしてショッピングセンター経験者を採用するケースも多くなっているようです。
中心市街地の商業活性化にショッピングセンターのノウハウを活用する、という文脈で進められていることですが、「見立て」の方法に問題があるようです。

□「見立て」とは

 「○○に見立てる」とはどういうことか? これはAについて考えるにあたって、あらかじめよく知っている“B”についての知識(Bの構造や構成など)を援用すること、AをあたかもBであるかのようにみなして、Bについての知識・経験をもってAを取り扱う、ということですね。
その採用は、Bに見立てることが、Aについての問題が解決しやすい、という判断に基づいています。
 皆さん既におなじみの「レトリック」という言葉を用いて説明しますと、「見立て」とは、Aについての問題解決(処理)に取り組むにあたって、よく承知しているBについてのレトリックを用いてアプローチする、ということです。
♪団子三兄弟♪は、串に刺した三つの団子を兄弟三人に「見立て」ていましたね。

 「見立て」を成功させるコツは、
①Aの構造・構成についての仮説(レトリック)を作る、
②Aに類似したレトリックを持つものを既存の存在から検索抽出(これがB)する
という作業にキチンと取り組むこと。
①及び②の作業を的確に行うことが成功のための絶対条件です。

では、「見立て」についての前提を踏まえつつ、中心市街地の商業集積の活性化の方向としての「ショッピングモール見立て」を考えてみましょう。

□“ショッピングモールに見立てる”とは

「ショッピングモール見立て」は、
①中心市街地の商業集積の現状と課題の把握を前提に、
②活性化を実現していく方向・方法を構想しなければならない、
③方向と方法は、「ショッピングモール」に見立てることで、より具体的なアプローチが可能になる。
ということを意味します。これを成功させるには、
「中心市街地の商業集積の現状と課題の把握」と同時に、「ショッピングモールの構造・構成」についての理解(レトリック)を持っていることが必要です。
中心市街地の商業活性化を「ショッピングモールに見立て」ることで実現しようとするわけですから、それ以前に「ショッピングモールとは何か?」ということが理解されていなければならない。当たり前ですね。

 この作業を抜きにして、“ショッピングセンターは、テナントミックス、テナントリーシングをしている、商店街も取り組むべきだ”程度のノリで考えたのでは、その昔、“大型店は床がきれい、雨が降っても傘が要らない”というレベルのレトリックで「カラー舗装・アーケード」に取り組んだころと発想的に異なるところがありません。
このレベルの活性化事業では、空洞化加速事業になることは、このところ当サイトで散々論じてきました。
 
 結論から言えば、中心市街地の商業の活性化を「ショッピングモール」に見立てる、という方向は、間違いではありませんが、問題は、このとき「ショッピングモール」をどのようなレトリックで理解しているか、ということです。
 「テナントリーシング、販売促進ノウハウ」というオペレーションレベルでとらえると、「空き店舗に欠業種を誘致する」ルーティーンワークレベルの見立てになってしまいます。これでは「空洞化加速」です。

□「見立て」るための前提作業

 「ショッピングモール見立て」を採用するには、先行してショッピングモールを理解しておくことが必要です。ショッピングモールとは、商圏においてどのような消費購買行動を対象に活動する商業集積なのか、ということを理解しないと、そのレトリックを中心市街地に活用することは出来ません。
「ショッピングモール見立て派」の皆さんが果たしてこのことに着目し、所要の作業を行った上で「見立て」を行っているのかどうか、疑問ですね。

 そもそもショッピングセンター業界にも“ショッピングモールについての理論的な解明がどの程度行われているだろうか”という問題があるわけで、「ショッピングモールは、どのような消費購買ニーズに対応する商業機能か?」という位置づけは、当のショッピングモールの側でもキチンと認識されていません。

 ショッピングモールを理解すれば、中心市街地の商業集積群が活性化を実現するために目指す目標の見立ては、ショッピングモールではなく、当社が提唱している「ショッピングコンプレックス」であることに想到します。現在、「ショッピングモール見立て」に基づいて活性化に取り組もうとしている皆さんは、早急にショッピングモールを解明し、そのレトリックが「中心市街地の商業集積群」の活性化を推進するレトリックとしては不十分であることを確認してください。
その上で、中心市街地の商業集積群の活性化の方向=ショッピングコンプレックスの業容構築へと大きく舵を切っていただきたい。

 この作業は、『基本計画』作成のプロセスそのものとして取り組まれるべき課題です。
詳細は、冒頭に述べたように【都市経営コーナー】において、現在の作業が一段落してから展開します。
それまで待てない人はクオールエイドにご連絡を。

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進化する売場研究会

  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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