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女性や若者の意見

 街づくり論議で必ず出てくる言葉に、「これからの街づくりには女性や若者の意見が重要だ」とか、「現場で苦労している商業者の意見を尊重することが大切だ」などがあります。それなりに練り上げた意見を持っていて、これを貫徹するための方便として言われるのなら、まあ、そういうことも時と場合によっては「あり」かも知れませんが・・・。

 言い出す人やその目的もよく分かるのですが、なにぶんにも表だっては誰も反対できない意見(反対するほどのことでもない?)ということで、そうだそうだ、ということになります。「そうだ」といっても日ごろ街づくりについていろいろ考えているわけでもない人たちが、有効な意見を持っているという可能性は少ないでしょう。また、発言内容が街づくりに有効かどうかということは発言者の属性に関わることではありませんから、「重視する」という方針が採用されてもいつの間にか忘れられてしまいます。「尊重」を言い出した本人が真っ先に忘れたりして。

 「意見を尊重する」といっても尊重する仕組みをどう作るのか?取り上げていく仕組みも無いままで尊重するということは、街づくりについての発言は発言者の属性に基づいて差別すべきといっていることになりますね。そうすると、該当者の発言については論評抜きで羅列採用することになりかねません。事実、「商業者の意見を尊重」した結果、商店街組合が希望する事業を脈絡抜きで羅列してお終い、という基本計画も散見されるところです。

 関係者のうち、ある属性を持っている人たちの意見が尊重しなければならない、というのならその根拠をはっきりさせてからにすべきでしょう。

 実際のところ、もういい加減、こんなしたり顔の発言はやめてもらいたいですね。時に若手の政治家などがこういうことをしゃべるのを聞くとまったくウザイ。そういうレベルのハウツウで街づくり・活性化が出来るなら誰も苦労はしないわけ。中心市街地活性化などが国家的イシューになるはずがない。

 街づくりにおいて尊重しなければいけないのは、ライフワークとして活性化に取り組む・実現していく、と決意している人たちの意見でしょう。
もちろん、尊重しよう、といったからといって尊重されるようになるということは、まぁ、ほとんど無いでしょうね。総論賛成、各論反対は当たり前、じゃあ、採決して見ようじゃないか、ということになるでしょうから。こういう修羅場をくぐりながら仕事を進めていくのが街づくりの現場でしょう。「尊重して」などという甘えンぼの出る幕はないのであります。

 当事者である商業者の意見を尊重する、消費者である女性の意見を尊重する、次代を担う若者の意見を尊重する・・・なるほどね。

 こんなきれいごとを言っている人は、商店街の活性化という仕事を取り巻く条件はもはやそういう安穏なことをしゃべっていればすむという時期ではないということがまったく分からないらしい。尊重してもらいたかったら、女性、若者といった一般的な属性に頼らず、関係者が尊重せずにはおられない意見を、尊重せずにはおれない手法で提出すべきでしょう。必要なら「抵抗勢力」と渡り合ってでも進まなければならない。そういう時期でしょ?「発言を尊重して」などとおねだりをしているようでは話にならない。

 実際に街づくりに取り組んでいる女性や若者などからは、「私の意見は有効なはず、採用して」という主張はあっても、「女性や若者の意見を尊重すべき、だから私の意見を尊重して」という意見が出ることはほとんど無いでしょうね。

 そもそも、街づくり・商店街のこれからのあり方について、「どういう商業集積が消費者に支持されるか」ということを消費者に聞かないと分からない、消費者に聞けば分かると思いこんでいる、というレベルならそのこと自体が大問題、そういうレベルの人が消費者の意見をいくら聞いたからといってそれを街づくりに活用するということは無理というものです。

 消費者は、買いもの行き先が複数提供されていれば、比較有効な方を選択する、ということになりますが、「買い物行き先の一般的な基準」をもってそれぞれの商業集積を評価しているわけではありません。その時々の買い物の必要に応じて複数の行き先を使い分けているのが実態です。SMとCVSを「買い物行き先としてどちらがよいか」などという発想は無いのです。そういう消費者に対して「商店街に対する要望」を聞くということは、うちの商店街について評論して、といっているのに等しい。コンサルタントを呼んできて意見を聞くのと一緒で、消費者も自分の買い物体験を離れていろいろ考えて意見を述べることになります。駐車場が欲しい、サービスが悪い、品揃えを豊富にして等々・・・。

 こういうことを発言する消費者が実際にそういう要望が実現しないと毎日の生活が不便だとか、叶えられれば商店街に回帰するというような切実な要望かといえばそういうことは全然ない、一般論として「この商店街には○○が必要だ」と言っているだけ。だって自分は他に買い物行き先を持っているわけですからね。一般論というかこれまでに読んだり聞いたりした商店街関係の知識の中から適当なことを引っ張り出してきてしゃべる以外にありません。まったく切実感の無い意見です。

 ところが、これまでの商店街の対応では消費者アンケートなるものをやって要望の多かったもののうち、比較的やりやすいものに取り組む、ということが多かった。駐車場が無いといわれれば駐車場を作り、託児所がないといわれれば託児所を作り・・・・。
それで結果的に消費者に喜ばれ、消費者が顧客になってくれたかといえばこれが全然。だって当たり前でしょ、消費者は商店街のお客としてあれこれを要望したわけではなく、自分の知識の範囲で評論しただけですから。

 地元の消費者が商店街についてどんな評価を持っているか、消費者に聞かないと分からない、活性化施策も同様、という安易なアプローチでは活性化など出来ません。コンビニエンスストアが出店するにあたってアンケート調査などしますか?コンビニエンスストアが出現する以前「あなたは真夜中にラーメン買いに来てくれますか」と聞いたら百人中百人が「no」と答えたことでしょう。消費者アンケートを真に受けていたら、CVSという事業機会は無かった、ということになる。

 消費者アンケートは、自分たちの街がどうすれば活性化できるか分かっており、その方向での取り組みが始まってから行うべき。その内容も「こういう街を作りますが、如何ですか」と問いかけ、しかも「賛成、ぜひ頑張って」という答えが返ってくることが分かっている場合にのみ有効だというのがマーケティング戦略的には常識です。


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