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『基本計画』は“商業保護計画”?

 新スキームの登場・新計画つくりへの着手に先立ってどこの都市においても、“これまでの取り組みで何が達成されたか”、“そもそも何を目標に取り組んできたのか”ということが問い直されているわけで、いわゆる「総括」ですね。
 この問に真摯に向き合わないまま、「事業の継続」を唯一の大義名分に新スキームに飛び移るようなことがあれば、過去の失敗を繰り返す羽目に陥ることになります。
古人曰く、一度目の失敗は悲劇、二度目は喜劇。

 今日は、あらためて「中心市街地活性化基本計画」のねらいが何であり、ねらいを達成するためには何が必要か、ということをしっかり考えてみたいと思います。

 まずは例によって、国のスキームのおさらいから。 
『中心市街地活性化法』における商業活性化のスキームの大綱は次のとおり。
1.目 的:商業機能の活性化による都市機能の充実と経済
      活力の向上
2.方 向: “中心市街地の商業集積群を一個のショッピング
      モールとして再構築する”
3.方 法:中小商業の競争力の基本である業種揃え・店揃え
      の再構築

 上に簡便にまとめた「目的・方向・方法(以下、「三点セット」と呼ぶ)」は、新・旧のスキームを通じて一貫しており、これこそが「中心市街地活性化」の基本課題であることに疑いの余地はありません。
※これはきっちり理解しておきましょう。「理解しておく」とは「理解して・アタマのどこかに容れておくこと。日頃は忘れているがいざというときはきっちり出てきて役に立つこと」ようにしておくことです。
 「小売商業高度化事業」以下の“商業の活性化のための事業”のメニューは、適宜取捨選択・加工して「三点セット」を実現するための手段として活用される。各事業は、三点セットの推進という方向で企画されないと、最終目的:商業の活性化を実現することが出来ません。

 小売商業の定義を思い出してみれば、これは「顧客の生活に必要な材料を集荷して提供する」という社会機能です。
小売商業を活性化するためには、「顧客が生活に求めていることを理解し・その満足を実現するために必要な材料を集荷し・適切なサービスを付加し、快適な環境で提供する」という仕事に取り組んでいかなければならない。
ニーズが変化すれば対応しなければならない。

 中心市街地に立地する小売業の場合、小売商業の活性化は、“目的・方向・方法の「三点セット」一体の取り組み”として、集積を構成している出来るだけ多数の商業者の協働で実現していく以外に道はなかなかありません。

 人が商業施設を訪れてショッピングをするのは、“生活に必要な材料を買い求め、持ち帰り、使うことで「生活そのものを作り上げるため”です。
商業の競争とは“お客から見て、誰がもっともよくショッピング行き先としての役割を果たしているか”ということを基準に、お客のアタマの中で行われます。

 商業施設の空洞化とは、第一にお客からみた「来店目的の空洞化」すなわち、“あの店・商店街に行かなくても生活に不都合がない”、”有ってもなくても別にかまわない”とみなされていることを意味します。どうしてかといえば、“他にもっと使い勝手の良い、優れたショッピング行き先がある”とお客が考えているからですね。

 小売業の活性化=「空洞化している状態からの再生」は、劣化しているショッピング機能を再構築するすることでしか実現することが出来ません。
 業容(=「品(店)揃え」・「サービスミックス」・「内外環境」)のありかたを今どきの消費購買ニーズに対応させることが最重要課題であり、業容の「買い物の場としての改革」は活性化への絶対条件、具体的な「買い物」・「ショッピング」は個々の売り場の中で行われるわけですから、活性化の取り組みの成否は、究極、「個々の売り場の改革」、「シャッターの内側の改革」の進捗・出来映えに掛かっています。

 「三点セット」を無視して取り組まれる各種各般の活性化事業、すなわち、「小売商業高度化事業」、「特定商業施設整備事業」をはじめ「街並み景観整備」「ファサード整備」「アーケード」「カラー舗装」「イベント」「コミュニティ機能の整備」「イベント」「コンシェルジェ設置」など・など・などは、“商業機能の現状を維持しつつ活性化する”という、「出来ない相談」をしているわけで、効果が挙がるはずが無い、というのは実地にやってみなくても、アタマの中で考えてみれば容易に察しがつくことです。

 以上については、素人(たとえば消費者・買い物客)から見れば至極当然のこと、あなたもモロモロを離れて、自分自身の「ショッピング」局面の行動を振り返ってみればたちまち納得できることですね。

 ところが。
これまで取り組まれてきた商業の活性化は、「業容の転換」という最重要課題を「個店の問題」とカッコに入れて、「シャッターの外側」の取り組みに終始してきました。
個店が自力で「シャッターの内側の改革」が出来るくらいなら、機能の空洞化は起きていないわけですから、空洞化している個店・商店街を“シャッターの外側の施策で何とかしよう”というのは、ダメな個店・商店街を機能活性化以外のことで何とかしてあげよう、ということであり、つまりは活性化出来ないから“保護してあげよう、ということに他なりません。

 商業施設は外部の施策で保護することができるか? 出来ません。
イエ、何が何でも保護するのだということで、他の「買い物行き先」をすべてつぶしてしまえるならば、行き先の選択が出来なくなりますから、劣化している商店街・本来は使いたくないお店でも買い物に行かざるを得ません。
ただし、そのためには、お客の買い物行動圏内全域で「中心市街地より優れている買い物行き先」を全部つぶすことが条件です。つまり、出来ない相談です。

 もう一つは、お客に泣きついて、不便・不満があってもうちで買ってください、“イベントだって提供してるじゃないですか」と恩着せがましく哀願し、お客が「かわいそうだから」と自分の生活を犠牲にして買い物してくれる・・・。
これも無理ですね。

 というように考えてみますと、「業容転換を目指す自助努力」が先行あるいは並行して取り組まれていない「シャッターの外側の活性化事業」は、「中心市街地の商業活性化」の実現には、何の効果もないことがハッキリと理解されます。
商業を活性化したかったら『三点セット』に取り組む以外に選択肢はありません。

 『中心市街地活性化基本計画』のうち「商業の活性化」についての計画は、『三点セットの推進計画』でないと、所期の目的を達成することはできません。
と、これも毎度のことですね。

 「三点セット」を上位課題としない活性化策は「商店街保護施策」であり、本来、お客の支持の有無によってのみ命運が左右される商業集積を「保護」することは出来ません。
「保護施策」でしかなかったこれまでの活性化への取り組みが軒並み成功しなかった理由はここにあります。
 想像していただきたい。これまで取り組まれてきた多種多様な活性化策、効果が挙がらず取り組んでは挫折、目先を変えてもまた挫折・・・の繰り返しですが、もし、これらの事業に先だって、または並行して個店の業容革新・シャッターの内側の改革が進められていたとしたらどうでしょうか?
 お客は「ショッピング」を楽しむことが出来ますね。ショッピングの楽しさは、“繰り返し来店”を喚起します。

 他方、「ショッピングの場としての再生」に取り組まれていない商店街が行う「保護施策」としてのイベントなどに釣られで来街したお客は、せっかく来てはみたものの「ショッピングの場」として試してみたい売り場など、まったく準備されていませんから、当然、ショッピング行動は起こらず、結局、活性化事業と商業機能の活性化とはすれ違い、ということになる・・・。

 ということで、中心市街地の商業の活性化を本当に実現したかったら、『三点セット』を肝に銘じて、すべての事業活動は、これを実現する手段として立案・計画しなければならないということがあらためて確認されたことと思います。

 「商業の活性化」という視点から見た中心市街地活性化のスキームは、挙げて『三点セット』を実現するためにしつらえられている、と見ることが出来ます。事業群を総合的・一体的に推進することで実現するのは「中心市街地のショッピングの場としての再構築」です。

 上記についてはすでにご承知のとおり、御市関係各方面で十分理解を共有しておくことが必要です。
皆さんは立場はどうであれ、この「共有」を実現する、という役割の一部、「火付け役」を担うことになります。
従って、以上については一点の曇りもなく確信を持たなければならない。
 疑問がある人は、せっかく、当サイトという機会があるわけですから、存分に活用して一点の曇りもなく確信していただきたい。確信の領域に入らないと、知恵が湧きませんし、説得力も出てきません。
質問や批判などは【商店街起死回生】で承ります。

 この記事は、御市の関係各方面に配付し、共同討論の資料にしていただきたいものです。クオールエイドを呼んで勉強会を開きたいがきっかけが難しい、とはよく聞かれるところですが、まずは、この記事を“商店街活性化を考える”資料として共有することからスタートする、というのは試してみる価値があると思います。

 最後に重ねて。
「三点セット」を掲げないまま、「法」のスキームで商業の活性化を目指すのは、現存商店街を保護しようとすることであり、なけなしの人・もの・かね、それに時間をむざむざ浪費しようとするわけですから、暴挙と呼んで差し支えないでしょう。暴挙などにはくれぐれも加担召されないように(笑

 商業集積の命運を左右するのは、顧客の行動だけ、誰であれ、どのような施策であれ、商店街を保護することは出来ません。


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  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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