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ショッピング コンプレックス

 このところ、サイトでは「ショッピングコンプレックス(Shopping Complex)」という言葉を多用しています。
これは、最近、一部のショッピングセンターが他と区別する目的で自己を表現するために用いているようですが、普通名詞としてはあまり使われていません。専門用語として用いているのはたぶん当社だけでしょう。
この言葉を用いると用いないとでは、中心市街地活性化への取り組みに大きな差違が生まれ、ひいては特に中心市街地所在のさまざまな商業機能の一体的な活性化の成否を左右することになると思います。あらためて説明しておきます。

 当社は、この言葉を「複合商業集積」という意味で用いています。
複合商業集積とは、大規模小売店(百貨店、ファッションビル、カテゴリーキラー、GMS、SMなどなど)、ショッピングセンター、商店街などさまざまな商業集積が集積して形成されている「商業街区」 のことです。SCやフリースタンディングのパワーリテイラー、アミューズメントなどが集積している郊外の商業地域もそうですね。
「商業集積」と「複合商業集積」の違いは、前者は計画的に作られたものと自然成長的に作られたものがあるのに対して、現在のところ、後者は複数の商業集積による“誰が計画したのでもない”、自然成長的に形成された集積です。

 「中心市街地に立地する商店街群」は、まさしく「自然成長的な」ショッピングコンプレックスということになります。「自然成長」とは、個々の施設あるいはそれらに所属する個店は、明確な目的意識のもとに業容を作り上げているが、それらが集合して形成されている集積については、ビジョン無し・計画無しで作られている、という意味です。
商店街は、「自然成長的商業集積だ」とはよく指摘されているところですね。

 ショッピングコンプレックスは、一定の地域に立地している多様な商業類型を「一体的な集積」として認識しようとするものです。これまで商業機能の最大単位といえば、ショッピングセンター、モール、商店街などでしたが、コンプレックスはそれらを内包する概念です。
なぜ、この概念を登場させなければならないか?

 前述のとおり、中心市街地にはさまざまな消費購買ニーズに対応する店舗・商業集積が集積しています。伝統的な用語で言う「買い回り型」/「最寄り型」、「必需」/「選択」などと区分されるような「業種・業態」が一定の街区に集合しているわけです。
『整備改善活性化法』は、これらをひっくるめて「一個のショッピングモールと見立てて再構築する」という方向を打ち出しました。

 もちろん、方向は正しいのですが、「一個のショッピングモール」という場合、その内容が気になります。
前述のとおり、「中心市街地の三要件」に合致する街区には多様な商業機能が混在してあり、「商業の活性化」はこれらの多様な機能をどう扱うのか、ということを含めて構想しなければならない。このとき、ショッピングモールという概念を「多様な商業集積の集合体」という意味で用いれば問題はないのですが、どうも、無理があるような気がします。

 特に、郊外型SCは「ショッピングセンター」という総称から、いわゆるリージョナルタイプのものは、「ショッピングモール」へと急速に変わっていますから、そちらとの紛れも生じます。郊外のショッピングモールの業容をそのまま中心市街地に導入すればよい、といった議論・計画も出てくるかも知れません。というか、一部ではすでに実現しているところもあるようですね。
これはハッキリ、中心市街地活性化という仕事の手法としては、ちょっと・ちょっとだと思います。一方では高齢化社会対応・高齢者の中心市街地への移住を計画しつつ、整備する商業機能は郊外型ショッピングモール、というのはミスマッチですね。

 ショッピングモールの業容は、ヤング&ヤングファミリーのセルフショッピング客相だということはだれの眼にもあきらか、中心市街地がこれを狙って郊外とSS園交えるというのは、論外中の論外、その理由は長くなるのでサイト内で検索してください。
「ショッピングモール」という、もともと「計画された商業集積」を示すことばを、最寄り店、食品市場、SMなどの業種・業容を内包した商業街区を表す言葉として使うというのは、これから先も適切かどうか。
「モール」ではなく「コンプレックス」とした方が、各機能ごとの充実を図る、それぞれ充実した機能が相互に連携し、相乗効果を発揮し、中心市街地の商業機能全体としての「来訪目的」の複合化を実現する、という目的にとって適切だと思います。

 このような問題意識を踏まえて、当社が新しく創造・提案しているのが、複合商業集積=ショッピングコンプレックスという概念ですね。
一定の地域に立地する小売商業を「小売機能」というレベルで認識することで、集積効果を創造することを目指します。
ショッピングコンプレックスの上位概念は、「中心市街地コンプレックス」。街区内立地する商業及び商業以外の都市機能が連携して作り出す、「中心市街地的機能」です。個別都市の中心市街地の活性化を構想していく上で重要な概念ですが、これについてはあらためて考えることとして、今日は「ショッピングコンプレックス」に集中します。

 5年ほど前、中核都市の「中心市街地テナントミックスビジョン」の作成を支援したことがあります。
基本計画~TMO構想~TMO立ち上げと順調に進み、計画と実務との橋渡しとしての「テナントミックスビジョン」を作ることになり、大手のコンサルタントさんに委託して取り組まれたのですが、出来上がったのが、白地に「ライフスタイルセンター」を建設する、という方向だったため、商店街から「自分たちの計画になっていない」と批判され、急遽、当社の出動となったという経緯でした。

 百貨店、ファッションビル、GMS、商店街、ホテル、飲食街が混在する「中心市街地」を「一個の亜ショッピングモールと見立て、ショッピングゾーンとして再構築する」ことを目指して、各商業機能別に分科会を設けてそれぞれの役割分担・機能整備の方向と方法を構想する、というアプローチで取り組まれました。
こういう取り組みは今でもなかなか見られない、「あるべき取り組み」だと思います。立案作業に参加した単位商業集積の代表者は、これからの自店~中心市街地の活性化の推進に向けて不可欠の合意形成、理論の修得と応用の経験を積みました。
 当社は全体の勉強会、商店街ごとの話し合いから百貨店、ファッションビル、GMSなどの店長さんたちと「自社の経営戦略」と「モールの構成員としての要請」の融合について膝を交えて話し合うというところまでトータルで担当しました。

 作業の成果は、『テナントミックス・ビジョン』として完成しましたが、内容は各単位商業機能が「中心市街地の商業機能」を分担するうえで実現を目指す「あるべき姿」と実現へのアプローチを描いた、画期的なものでした。
百貨店から商店街まで、責任者・リーダーが一同に会して、それぞれの店舗~中心市街地の活性化の方向と方法を論議し、ビジョンとしてまとめる、という作業ですから、指導及びコーディネートに当たった当社も他ではなかなか得難い収穫を得ました。

 ショッピングコンプレックスという概念を発明する以前のことであり、今にして思えば、このときの「テナントミックスビジョン」は、「ショッピングコンプレックス構想」だったわけです。当社が招聘された時点ですでに名称は「テナント・・・」と決定しており、「お役所仕事」らしくタイトルは踏襲しましたが、“今後、テナントミックスという言葉は使わない”とTMOさんが宣言するという一幕があったりしました。

 「ショッピングコンプレックス」概念を本格的に使うようになったのは、【ゆめタウン佐賀】の分析に取り組んだころから。
 すでにご承知のとおり、ここは従来的なショッピングモールの常識を越えたテナントミックスを実現しており、これをこれまでと同じ概念で取り扱うと、重要なことが見えにくくなる、と思われたわけです。
 「ゆめタウン佐賀」は、これからの商業集積のあり方について示唆するところがまことに大でありまして、おそらく「ゆめタウン」さんではまだ気づかれていないものを含め、商業集積レベルのノウハウが数多く生まれています。たとえば、集積と大規模店舗の業容をどう融合させるかなど、さっそく実務に活かせるものがたくさんあります。

 ショッピングコンプレックスという概念を導入した結果、特に、今まで「ショッピングモール」という言葉に無理に押し込んできていた“各種の商業機能が混在して形成されている・中心市街地の商業街区”を表現する新しい概念として使うことで、混在する商業機能間の相互・相乗作用がより明確に構想される、ということが見えてきました。

 諸般の理由から『基本計画』段階を従来同様のパターンで作成してしまった都市のうち、「このままではヤバイ」と自覚されているところは、これからでも遅くなはない、『中心市街地・複合商業集積活性化構想』 的なものを関係各方面の総参加で作成し、街区に立地する各種商業機能の自助努力を結集して、複合商業集積としての中心市街地を活性化していく、「中心市街地活性化への道」 を構築していくことが求められています。

 商業実務に携わる皆さんの実効ある取り組みに向けた構想~行動計画の作成は、従来型基本計画による中心市街地活性化の推進を「本物」にするため、早急に着手すべき「窮余の一策」だと思います。

 いずれにせよ、既成のノウハウを用いて作ったレベルの『基本計画』だけでは活性化を実現することは出来ないということは、これから次第に“常識”となっていくものとおもわれます。
一日も早く、「実効ある取り組み」を再編しなければならない。

ショッピングコンプレックスという概念、私は実効ある商業活性化の取り組みの成否を左右する重要な概念だとおもっていますが、さて、皆さんのお考えははどうでしょうか。


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  • Author:進化する売場研究会
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    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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